「それは○○だからできないです。」

 

「それはまたおいおい判断していこう。」

 

こういう言葉を僕は公務員時代、耳にタコができるくらい聞いてきました。

 

今までに前例がない企画や考え方を持ち出すたびに言われて、
そういった展開になると、大抵の場合、実行されることはありませんでした。

そう、できないことの言い訳作りや問題の保留です。

 

あなたの周りにもいませんか?こういう人。

 

こういう言葉は一見、慎重さの表れであるように思えますが、
その実態は、人間が無意識のうちに持ってしまう臆病さなのです。

 

なぜ人は、このようにできない言い訳づくりをしたり、
判断を保留してしまう傾向にあるのでしょうか?

 

今回は、行動経済学の観点からそういった人間の心理を紐解いてみたいと思います。

そもそも、行動経済学とは?

一般的によく聞くのは経済学ですね。

これとは違った観点から経済を読み解くのが行動経済学です。

どういうことかと言いますと、

経済学は、人間は必ず合理的な判断をするものという前提に立った学問です。

一方、行動経済学は、人間は合理的でない判断をすることもあるという

前提に立った学問です。

 

行動経済学の方が、よりリアリティを追求した学問であると言えます。

後悔回避

複数の選択肢からどれか1つを選ばなければならない場合、
人間は大きなプレッシャーを感じます。

 

例えば、マイホームを購入するとか、大きな金額の株取引をするとかがそれにあたります。

 

で、そういう時、
人間は無意識のうちに失敗した時に心理的ダメージが少ない方を選ぶ性質があります。

心理的ダメージが少ない選択とは、人から受けたアドバイスを鵜呑みにするとか、
何もしないことを選択するといったことです。

 

先ほどの公務員時代の例で言うと、
心理的ダメージを少なくするために、新しい企画が失敗した時の心理的ダメージが
大きくなることを恐れて、何もしないという選択をしたことになります。

何もしなければ、失敗もないので心理的ダメージはほぼゼロ、というわけです。

 

行動経済学では、このことを「後悔回避」といいます。

モンティ・ホール問題

ほとんどの人は、「変える」という選択ができないという実際にあった話です。

 

モンティ・ホールとはアメリカの昔のクイズ番組の司会者さんの名前が由来です。

 

クイズ番組の中で、以下のような問題が出ました。

 

①ABC3枚のドアがあり、1つは当たりで他ははずれ

 

②回答者はそのうち1つのドアを開ける

 

③司会者が残ったドアのうち、はずれの方を開ける

 

④回答者は②で選択したドアのまま最終回答とするか、
まだ開いていないドアに最終回答を変更する選択をする

 

こうしたシステムの中で、最終回答を変更した方がいいのかどうか、論争が起きたそうです。

 

ある人は、どっちみち確率は3分の1で変わらないから変更してもしなくても同じ、と言い、

またある人は、確率が変わるのではないか、と言いました。

 

多くの人は「確率は変わらない」と考え、最終回答を変更しない選択をしたそうです。

 

でも実は、これ、最終回答を変更することで確率が変わってくるんです。

 

②でドアを選んだ時点での正解確率は3分の1。

④で最終回答を変更しなければ正解確率は3分の1のままです。

しかし実際には、④で残されたドアの正解確率は3分の2なんです。

 

つまり最終回答を変更することで正解確率が2倍になるってことです。

 

この話は、確率の計算も少し難しいので考えることを放棄した人もいるのかもしれませんが、
いずれにせよ、難しい問題を目の前にして、
最終回答を変更してはずれを引いてしまった時の心理的ダメージが大きいため、
それが原因で多くの人が現状維持を選んで変更をしなかったと言われています。

できない理由を探すより、どうしたらできるか考えよう

「後悔回避」と「モンティ・ホール問題」。

どちらも心理的ダメージが大きくなることを恐れる人間の本能が引き起こす
不合理な判断です。

 

確かに、現状維持で変更をしないというのは楽なことです。

心理的ダメージは少ないし、責任も負うことはありませんから。

 

でもこういった局面でこそ「機会損失」というものを考えるべきです。

機会損失とは、ある事を実行しなかったことによって、
もし実行していたら得られていたであろう利益を損失と捉える考え方です。

 

現状維持という判断をしたことで、
ビジネスでは何十万円というお金を得るチャンスを逃すなんてことはザラにあります。

というか、何十万円で済むなら安い方です。

規模が大きければ何千万円のレベルです。

 

失敗を恐れて、思考停止に陥って、何もしないことを選び続けるよりも、
今できる最高の判断は何か、あるいは、どうしたらできるようになるか、
という事を考えて日々活動していきたいですね。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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